パープルムカデ
2003.09.17 発売
COCA-50736
16年前のある朝、
ツアー先のホテルのベッドの中で何かがモゾモゾと体に触る感触で目を覚ましました。
恐る恐る布団をはいでみるとそこには毛だらけの大きな虫が這っていたんです。。。!
ぞっとするよね。。。どんな虫だったか名前も知らないけども。
そのホテルにクレームを言う訳でもなくメンバーにそっと朝のさわやかな話題として提供しました。

「パープルムカデ」のレビューを書くにあたり
久々に聴き返していたらそんな事があったなぁなんて思い出しました。
レビューというよりは個人的な感想みたいなモノなので皆さんには好き好きに聴いてもらえたらと思っています。

「パープルムカデ」:今でもライブで頻繁に演奏されるもはや代表曲という印象。(ライブは頻繁にはやっていませんが)曲中の変拍子とかテンポチェンジとか不思議でイビツなんだけど、そうでなければいけない曲かと思っています。どうやってこのアレンジに辿り着いたのか覚えてないなぁ。気がついたらこうなってました。

「(I’m not) by you」:個人的に1位、2位を争う程好きな曲。寂しさが綺麗に響いてて好きなんです。あまりライブでは演奏されませんがもし演奏する時はがっちゃんとキタダさんと俺の3人だけの空間で演奏できたらなと思っています。意地悪な事言ってごめんなさい。

「回送」:ドラムだけで言うと初の打ち込みリズムとの融合に技術的に拙く飲み込まれまくった曲。今ならもっと上手く演奏できるか。も。後に「Mouth to Mouse」というアルバムに同曲のバンドだけの演奏バージョンが収録されますがその時の俺の演奏はリードを外してもらった犬のように駆けずり回っています。でもドラムの演奏はやはりバタバタしている印象。

「根ぐされ」:史上最長(8分)の曲。ひょんな事から録音とミックスをズブの素人である私が担当しました。マンションの一室でがっちゃんと2人篭って録音したのを憶えています。自分の拙さで残念な音質になってしまい心苦しくもありますが貴重な瞬間が残せたような気もします。残念ながらライブではまだ演奏した事がないのですがもし演奏したとしてもこの曲は弾き語りなので俺の出番は無いんです。あしからず

そうそう、「パープルムカデ」のタイトルについて当時がっちゃんに「何でムカデなの?」と訊いたら「ダイキちゃんのベッドにムカデがいたって言ってたから」との事でした。


中畑大樹(syrup16g)

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“パープルムカデ”のレビュー

  1. パープルムカデ。頻繁なテンポチェンジで曲ブツ切りにして、過去のアルバムの結果や当時フルアルバム出させてもらえないことにイラッと来てるんじゃないかと、個人的に感じた曲。そもそも、今までリリースしたアルバム枚数が異常なんで、色んなキャリアを積んだということに関しては良いリリース。syrup16gのライブも過去8割はブツブツ切った感じで、当時はこんな感じのライブ見て地蔵感半端なかったです。最近のライブはそうじゃないんですけど。知らんけど。

    ミニアルバム出すことによって、軽やかな回送とかの曲が日の目を見たりするんじゃないかなって思ったりします。多分当時のフルアルバムのノリなら重すぎて回送とかはリリース出来ない。パープルムカデと回送の対になっている印象が強くてこの2つを取り上げました。

    根ぐされ。アルバムの後ろにこういう曲入る時、調子悪そう。

  2. 正直、虫は大の苦手で。ムカデを見たらぎょっとしてしまう。

    パープルムカデも、そんなぎょっとするような展開を持つ曲だ。
    ライブでは、ピックアップが欠けた謎のテレキャスター・シンラインで必ず演奏されるこの楽曲。
    syrup16gの中でも特別な意味を持つ楽曲なんだと、中畑大樹のノーツを読んで思った。

    (I’m not) by youが個人的にとても大好きで。
    syrupとっかかりづらい人に広く勧めたくなる、優しいサウンド。チルポップ感があって。
    でも歌詞はめっちゃ切ないところがまた。「可もなく 不可もなく 不甲斐なく」という

    語呂の良い意味のある歌詞。五十嵐隆の書く歌詞の好きなところ。

    Mouth収録と違う、バリバリ打ち込みサウンドが入った回送。あとからこっち聴いたからビックリした。
    最初は歌詞が違ったようだけど、最終的に楽曲の歌詞に落ち着いたようだ。
    この一枚の中では一番明るい展開の楽曲で、アルバム版もこっちも好き

    根ぐされは大学時代によく聴いていた。
    人を傷つけてしまったときとか、傷つけられたときとか、勝手に傷つけられたときとか。
    大学を出たあとは、鬱になって仕事を辞めたときとか。

    歌詞を聴いてると自然と涙がこぼれてくるし、最後の展開で走り出したくなる。
    とにかく、傷ついたら聴く。中畑さんは「残念な音質」と仰ってますが、
    この楽曲は、このミックスが最高の音質です。ありがとうございました。

  3. 「パープルムカデ」。
    「まるでからくり時計みたいな曲だ」と、最初に聴いて、思いました。
    イントロのギターが何かの時間が来たことを告げて、からくり人形たちがくるくると踊りだすような。
    ふつうのリズムで来ないハズシ感と緊張感がとても心地よくて、大好きな楽曲です。

    そして何よりも、十数年間一生懸命「どんな意味が隠されているんだろう」と考え続けてきたタイトルの由来が、タイトルの、由来が……(笑)。
    syrup16gのそういう少しお茶目さんなところも、大好きです。

    それから、「パープルムカデ」から「(I’m not)by you」に続く流れは、「秀逸」というより他、私の語彙では表現が見当たりません。
    これも変則的なテンポの楽曲ですけれど、パープルムカデのからくり時計の雰囲気とは一転、逆にここだけ時間が止まったような、そもそも時間の概念が消えたような。
    「戦場で死んだムカデ」を白黒テレビ越しにぼんやり見ながら口ずさんでいるような、そんなイメージ。

    初めてシングルの形で出た音源ということで、当時、すごく新しい気持ちで聴いていたのが懐かしく思い出されます。
    「シロップはすごいなあ」って、今でもずっと思っています。