バンド初期の衝動がもたらす言葉では一生説明できないエネルギー。
それが「Free Throw」にも溢れている。
このミニアルバムに収録されている楽曲のアレンジが大好きでとても胸が締め付けられます。
決して綺麗に整っているわけではない演奏や音像が、なぜここまで人を惹きつけるのだろうか。
なぜこの音楽を美しいと思うのか。
なぜリリースされてから約20年経っても色褪せないのか。
全部を爆音で聴き終わった後に少しだけ分かった気になります。
でも何でかそれを他人には言いたくない。
syrup16gの音楽は僕の人生にいつだってリアルに鳴り響く音楽です。
石毛輝(the telephones / Yap!!!)
それが「Free Throw」にも溢れている。
このミニアルバムに収録されている楽曲のアレンジが大好きでとても胸が締め付けられます。
決して綺麗に整っているわけではない演奏や音像が、なぜここまで人を惹きつけるのだろうか。
なぜこの音楽を美しいと思うのか。
なぜリリースされてから約20年経っても色褪せないのか。
全部を爆音で聴き終わった後に少しだけ分かった気になります。
でも何でかそれを他人には言いたくない。
syrup16gの音楽は僕の人生にいつだってリアルに鳴り響く音楽です。
石毛輝(the telephones / Yap!!!)
高校生の頃、クラスメートにART-SCHOOLの「Requiem for Innocence」を貸した見返りに彼が持ってきたのが、「Free Thorough」だった。
野球部だった僕は、練習が終わった夜遅くの帰り道に、ウォークマンに入れたこのアルバムをよく聴いていた。
毎日野球の練習があって、よく先生から怒られていた僕は、結構毎日が辛かった。
周りのみんなは「頑張れ」とか言ってくれるけど、もう十分頑張っているしなぁと内心思っていたし、同じ理由で巷で流行っている応援ソングなるものにも、全然共感が出来なかった。
そんな辛い時に、このアルバムを聴いていると、聴いているときは心が少し軽くなった。ほとんど暗いことばっか歌ってるし、逆に気分が落ちるんじゃないかとみんな思うかもしれないけど、僕は寄り添われている気分になっていた。とても優しいアルバムだと思う。
「明日を落としても」とか聴くと、なんだか許されるような気がした。
僕の高校時代を救ってくれたアルバムです。
syrup16gに出会ったのは、ちょうど10年ほど前の高校卒業間近で、「ロキノンで見た解散したバンド」ぐらいの印象しかなかった。
たまたま「明日を落としても」を聴いて。衝撃的だった。
すぐにCD屋に走った。沸々と、沸々と、なんとも言えない気持ちが湧いてきた。(でも在庫がなかった)
「こういうことって、歌って良いんだ」
「こういうこと」というのは、すなわち「とことん落ちきった状態で発生するネガティブな感情」である。
世間一般では疎まれるような、その「感情」はブラウン管の音楽番組ではまず耳にすることがなかった。
ギターにコーラスが掛かった、ひんやりとした冷たいメロディも相まって、高校時代を鬱屈と終えた自分に
とても大きく、確実に、染み込んでいった。
delayedeadを聴いてから、Free Throwがやっと手に入ったので、逆流で体験することとなった。
delayedead特有のガッツリと歪んだギターや早いテンポの印象があった楽曲が、割と落ち着いており、
楽曲によってはキーが半音下がっている(4カポ→3カポ)効果も相まって、アンニュイな雰囲気を感じることができた。
一度で二度美味しい体験ができる
あと五十嵐隆のボーカルが割と遠く配置されている気がする。
これは後々のアルバムでどんどん薄れていく要素なので、このアルバムの大きな特徴ではないだろうか。
COPYの評価は高く、確かに名作なのだが、
syrup16gはここから始まったのだと、いつも肝に銘じるような
そんな大切な一枚。
初めて出会ったのは「明日を落としても」
高校3年生だった私は将来への不安や子どもと大人に近づく狭間で現実から音楽に逃げていた時期でもありました。
明日を落としても誰もひろってくれないよ
何?この歌詞。
まだ何もわかっていなかったかもしれないけど、私の中で何かが走った。
このFree Throwというアルバムはもう何度聴いたかわかりません。
syrup16gは私に前向きでも後ろ向きでもない方向を見させてくれます。
あれから20年。
日常的に聴こうとは思わないsyrup16g
不思議なバンドです。
でも急に欲するんです。どうしてもどうしても聴かなきゃと思える瞬間がこれまでの人生で何度もありました。
それはどんな時なのかはわかりません。
辛い時でも楽しい時でもない。
前を向きたい時でも過去にすがりたい時でもない。
そんなバンドはsyrup16gしかありません。
私がこのアルバムを手にしたのは、高校生の時でした。
まだあまり多くの音楽には詳しくない頃でありました。
そんな私がヘッドホンをつけてこのアルバムを初めて聴いて、鳴った「翌日」のイントロ、それはすこし眩しい雨上がりの朝焼けの光でありました。
syrup16gの楽曲は、どれも歌詞こそあまり明るくはないけれども、この「翌日」という楽曲の音たちは、syrup16gが本質的に内包している優しさやいじらしさを如実に物語っているような気がしています。
それらが、飾り立てない音作りでストレートに胸に迫り来るのが、この「Free Throw」というアルバムだというふうに感じます。
「初期衝動」と呼ぶには少し諦念がかった、それでもどこか愛おしい感覚にあふれている、大好きなアルバムです。
全曲思い入れが強すぎるので、You Say ’No’について。
何かが叶わなかったり、何を諦めたり、うまくいかない日々だったり、
そういった諦念をさわやかに歌いあげてくれています。
部屋を片付けたり、プリンを買ってみたり、小さい花を見つけたり、
日々の中に小さな希望を見出しています。
でも決して願いは叶っていない、永遠はない。運命も変わる。
美しいメロディと歌詞の中にも、深い絶望を感じることができます。
戻ってこない日々とか、叶えたかった夢とか、そういった事実を受け入れて、
生きている、どなたも共感できるのではないでしょうか。
初めてsyrup16gに出会った「翌日」と並んで最も好きな一曲。
syrup16gが好きな人は色んな曲を巡り巡ってこの曲に帰ってくる気がする。