Free Throw
1999.12.25 発売
MSR-TIN-019
バンド初期の衝動がもたらす言葉では一生説明できないエネルギー。
それが「Free Throw」にも溢れている。
このミニアルバムに収録されている楽曲のアレンジが大好きでとても胸が締め付けられます。
決して綺麗に整っているわけではない演奏や音像が、なぜここまで人を惹きつけるのだろうか。
なぜこの音楽を美しいと思うのか。
なぜリリースされてから約20年経っても色褪せないのか。
全部を爆音で聴き終わった後に少しだけ分かった気になります。
でも何でかそれを他人には言いたくない。
syrup16gの音楽は僕の人生にいつだってリアルに鳴り響く音楽です。


石毛輝(the telephones / Yap!!!)

コメントを残す

CAPTCHA


“Free Throw”のレビュー

  1. 久々に聴いたんですが、全然今でも聴けて、ビックリしました。若い。そして、若いのにこの時から音がシンプルで、何鳴らしても綺麗。粗削りなのに綺麗。若いバンドの方がメンバー全員で一斉にガシャガシャ爆音したがるんですが、それがあんまりないからなのか。と思いつつ、石毛さんの言葉に従い、いくら音を上げても爆音にならない爆音で聴くと後ろにあるものがわかり、うわぁ。

    正直当時、誰がCatchしてるんだよ、こんな誰も真似できないFree Throw!って思ってました。

    でもいらっしゃったんですね。

    当時、syrup16g聴いている人周りにいなかったんですけど、こうやってレビューで見れた時に、そこにいらっしゃったんですね、と安心しました。ありがとうございました。十三ファンダンゴでライブしていただいた時からの古参ファンです。

  2. 精神が成熟、或いは堕落、或いは摩耗していなければ、この音楽は響かない。

    はじめてsyrup16gの音楽を知ったのは中学生の頃。
    その時は正直、何も響きはしなかった。有線で流れる印象の無い無形の音楽のように忘れていった。
    しかし時が経ち、偶然にもまた彼らの音楽を耳にすることがあった。

    「明日を落としても、誰も拾ってくれないよ。それでいいよ」
    最近では俗っぽい言い方だとされている、天才という言葉。
    しかし私は、五十嵐隆という人物は正真正銘の天才なのだと心の底から感じた。

    私は「翌日」がsyrup16gの数ある曲の中でも特に気に入っている。
    底抜けに明るく、希望だとか永遠だとか、そういう煌めいたものを感じさせてくれる。
    だけどそれだけじゃない。
    「翌日」は、他の曲をたくさん聴きこんで、syrup16gに馴染んでから是非聴いて欲しい。
    そうすれば、言葉に表せないほどの深みと高さを感じられる筈だから。

  3. ドアがあって
    アンテナが立っていて
    窓があるのに
    ドアノブが無い
    歌詞カード中の宇宙人みたいな絵も好きです。

  4. 【私にとってSyrup16gは、私自身という存在の肯定である。】

    一週間でどんな人も生まれ変わる
    だから僕は無敵のスーパーマンにもなれるはず

    向日葵という曲の歌い出し。この歌詞はサビと共に2回出てくる。
    サビでは「くだらない」って一蹴されるけれど、
    五十嵐さんは決して上記の考えを否定したい訳ではないと思う。
    「くだらないけど、別にいいんじゃん」という感じ。
    むしろ、憧憬すらあるのかもしれない。

    向日葵と同じくらい背が伸びたら
    あの太陽に手が届くだなんて そう信じていた

    そんな自分を否定し、でも憧れを捨てきれず、また否定し、、
    逡巡をありのままに歌い上げるSyrup16gが好きだ。
    そして否定しきらないことに私は救われている。

    向日葵含む後ろ3曲は2010年再発時に追加されたものなので
    前半5曲だけでこのアルバムを捉えてみると、それはそれでものすごい。
    Stone Roses感バリバリの”翌日”から始まり、
    比較的平和な3曲が続いた後、最後にいきなり”真空”で
    真っ赤な血だらけにされて終わる。血が沸騰する。
    それが逆に「ヤバイ、生きなきゃ!」って感覚を与えてくれる、素晴らしいアルバムです。

    (余談)
    多くの曲で他のアルバムとのアレンジの違いを楽しめるのも、本アルバムの魅力の1つ。
    「あれ、こっちの”真空”は「全部」って言わないんだっけ」みたいな。
    逆にいうと、このアルバムで一番再生回数が多いのは
    他で収録されていないHonolulu★RockやYou Say ’No’かも。