Mouth to Mouse
2004.04.21 発売
COCP-50780
数多くの名曲が収録されたシロップ16gのこのメジャー4作目のアルバム。
「リアル」「うお座」「パープルムカデ」「My Song」
「I.N.M」「夢」「ハミングバード」...書き出すだけでキリが尽きません。かつてこんなにも開かれたシロップのアルバムがあったであろうか。このアルバムを聴いた当時の事が昨日の様に思い出される。
Drの大樹ちゃんの家で、まだマスタリングが終わったばかりだと言うこのアルバムを俺はケーキ手土産にして、胸をワクワクさせながら聴いていた。どの曲も聞き逃すまいと必死だった。どの曲もどの曲も、凄く良くて俺はその部屋で興奮を隠しきれなかった。前作の「HELL-SEE」の流れからこう来たか!と今まで聴いた事がないシロップの姿と、変わらない楽曲の素晴らしさに俺はすっかり胸を打ちのめされていた。聴き終わって、家を出る頃にはすっかり外の空気の寒さで息は白くなっていたが、このアルバムを聴いた直後の興奮でそんな事はすッかりと忘れていた。勿論、当時のロックシーンに産み落とされたこのアルバムの衝撃は今も変わらずリスナーの頭の中にしっかりと焼き付いたままだろう。傑作であり、またシロップのピークポイントを迎えた大切なアルバムである。


木下理樹(ART-SCHOOL)

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“Mouth to Mouse”のレビュー

  1. 15年くらい前、BUMP OF CHICKENのメンバーとの対談でsyrup16gを知って、すぐさま「delayed 」「Mouth to Mouse」「delayedead」の三枚を買った。
    「Mouth to Mouse」は他のアルバムに比べて、syrupらしさというか形式みたいなものが壊れかけていてる気がする。
    でも何故か一番聴き込んで、深く思い入れてしまったアルバム。
    聴き始めた当初は、五十嵐さんの歌い方は生々しすぎる気がした。
    もっと上手く聴こえるように歌えば売れるんじゃ…などと不遜な感想を抱いたりもした。今思うと、そんな生々しさ、正直さに触れたくてsyrupを聴き続けていたんだとわかる。
    「セミだって花だって悲しいと思える 人間の感性を自分は愛している」
    こんな心情を曲で伝えようとしてくれて有難う。感謝しています。

  2. 私がsyrupと出会ったアルバム。
    当時ラジオでI・N・Mが流れて衝撃を受けて即買いに行ったのを覚えてます。
    何度聞いても胸が締め付けらるような、切ない気持ちになります。

  3. メジャーデビュー1年目に立て続けにリリースされた3作に対し、そこからEPやシングルで布石を置きつつ、約1年の間を空けてリリースされた本作。
    ある意味での1つの到達点であり、ピークポイントなのかもしれない。
    外部プロデューサーや外部プレーヤーを招いており風通しも好く、丁寧に作り込まれている印象もあり。一通り聴き終えると所謂”メジャーぽい”感触が残る。「パープルムカデ」「夢」「メリモ」といった歪でヘヴィーな曲も相変わらず並んでいるのにもかかわらずだ。

    確かにこの頃の彼らは、音楽誌などでネクストブレイクとして取り上げられたり、多数のフェス出演もあったり、徐々にCDのセールスも上がり出していて。
    レコード会社やまわりの大人たちは、彼らが開いていくことを求めただろうし。五十嵐氏自身も手応えを感じていたのか、それに応じようとしたのかもしれない。
    ラストの「Your eyes closed」は、リスナーである”あなた”への愛と感謝が向けられた歌だと、自分はそう捉えている。

    ただ、結果として、このやり方がsyrup16gらしかったのかというと、当の五十嵐氏が1番合点がいっていなかったようで。それが次作に繋がっていくことになる。

    …全くの余談ですが。
    うお座のSingle Mixて忘れ去られてないすか?リイシュー盤でも漏れてるし。アレはアレで好きなので、ちゃんとコンパイルして欲しいんだけどなぁ。

  4. 大好きな曲、思い入れのある曲がたくさん入っているアルバムです。無理にお気に入りを挙げるとしたら”ハミングバード”かなぁ。なんでこんないい曲書けるのか不思議です。優しいメロディに無駄に飾らない素敵なアレンジ、そして個人的にはsyrup16gの中で一番歌詞が好きなのもこの曲です。どうしようもない虚無感に襲われがちな毎日にそっと流れてくれる悲しくて優しくて素敵なBGMです。