日本のロックシーンに凄まじいインパクトを与え、今尚色褪せない輝きを放っているシロップ16gのインディーズファーストアルバム。
人間の持つ不条理さや闇を徹底的に見つめながらも、五十嵐の天才的なメロディメイキング、ソングライティングの高さで描かれたこのアルバムは、同時代を生きた俺にも衝撃的な一枚だった。名曲「生活」が収録されているが、どの曲をとってもその質は非常に高く、いま聴いてもまさに名作としか言いようが無いアルバムだ。
異形のスタイルを持ったこのアルバムが産み落とされたのち、熱狂的な支持者と共にシロップはメジャーへの階段へ駆け上っていく。
そういった意味でも、シーンに妖しく輝き属ける金字塔の様なアルバムである。
当時、俺たちはシロップと対バンする機会が多かったが、その当時から凄い狂気と殺気と切なさと、五十嵐のソングライティング能力の高さにはインディーズのバンドシーンの中でも一目置かれていた存在であった。
多くの名曲が収録されている「COPY」。何度も書くが色褪せない傑作である。
木下理樹(ART-SCHOOL)
人間の持つ不条理さや闇を徹底的に見つめながらも、五十嵐の天才的なメロディメイキング、ソングライティングの高さで描かれたこのアルバムは、同時代を生きた俺にも衝撃的な一枚だった。名曲「生活」が収録されているが、どの曲をとってもその質は非常に高く、いま聴いてもまさに名作としか言いようが無いアルバムだ。
異形のスタイルを持ったこのアルバムが産み落とされたのち、熱狂的な支持者と共にシロップはメジャーへの階段へ駆け上っていく。
そういった意味でも、シーンに妖しく輝き属ける金字塔の様なアルバムである。
当時、俺たちはシロップと対バンする機会が多かったが、その当時から凄い狂気と殺気と切なさと、五十嵐のソングライティング能力の高さにはインディーズのバンドシーンの中でも一目置かれていた存在であった。
多くの名曲が収録されている「COPY」。何度も書くが色褪せない傑作である。
木下理樹(ART-SCHOOL)
She was beautifulから始まるこの最初で最後の(つもりだったと聞く)アルバム。1曲目にこの曲を置いたことに、強い祈りを感じる。ひとりでも、いつか、だれかの、心へ、届きますように(syrup16g『ラズベリー』より)と。
その祈りは、時を超えて、人種も超えて、多くの命ある存在の魂のなかで響き渡った。教会でパイプオルガンがバッハの曲を響かせるような神聖さをもって。
この曲は、生きるための曲では決してない。この曲は生きている私たちとともに常に寄り添ってくれる、泣いてる人の傍で寄り添って(syrup16g『To be horor』)くれる、ただそれだけ、ただそれだけ、ただそれだけのことができる唯一無二の曲なのだ。他にそんなことができる曲を私は知らない。ただ寄り添う。声をかけるのでもなく、背中をさするのでもなく、ただ隣にいる。隣でいつも生きている──ライヴのときに出会って話した十数人の人たちが、みんな声をそろえて(決して協調などではなく、個人の意思で)、言った。
それぞれ自分なりの言い方をしたけれど、意味をしていることは、みんな驚くほど同じものだった──「私の命の終わるときもその後もわたしのたましいのなかでこの曲が流れていてほしい」と……。
もう一度言う。この曲は生きるための音楽では無い。生きている人の魂の隣に永遠に寄り添ってくれる音楽なのだ。
彼らがその後に出したアルバム、もちろん素晴らしい。
素晴らしい、が、She was beautifulという曲の持つ、聞く人の魂の教会にて響き渡る祈りの歌として、これ以上の曲はないだろう。
──
『無効の日』
私がずっと、この曲で大好きなフレーズがある。
「空気中の酸素量は減っちゃって 苦しそうにね 口笛吹く それをどうして悲しいと言うの」
本当に好きなんだ。
syrup16gが好きな人の集まりで、よく歌詞の話題になると、「いちばん好きな歌詞」はという、話題になる。
そのときに私はこのフレーズをいちばんに挙げる。
すると、「どうして?」と誰もが言う。
どうしてだろう?私は声がうまくだせない。声に出そうとすると、頭に浮かんでいたことが消えてしまう……そう……空気中の酸素量は減っちゃって──声が出ない──それなら音楽を、口笛を吹いてみようか──苦しくても、私はこの曲が好きだ、この歌詞が好きだって、口笛吹くの。苦しくたって好きな音楽があるから、いちばん苦しいときだって、この曲に支えられて、歩いてきた。全然悲しいことなんかじゃない。私はこの曲が好きだよ。「そうなんだ、そうだよね。」
──
『生活』
少しなんとなく、書くの気後れしてしまうよ。わかってくれる?
──
『君待ち』
「時計壊れた 後の責任は放棄 すべては ほら もう劣化されない」
とても哲学的な歌詞だと思った。し、ずっと思っている。退廃の、世界から追放されることへの諦めの、美。決して、ルサンチマンでない。受け入れている、沈んでゆく船。時間通りに起きて(syrup16g『もういいって』)やるべきことなんてもうないよ。いいんだよ。もうやめよう。横たわっていよう。沈んでゆこう。深い海の中へ。
─
LIVEツアー『再発』の名古屋でのセトリ
『ゆびきりをしたのは』で「勇気を使いたいんだろ 勇気を使いたいんだろ 勇気を使いたいんだろ 勇気を使いたいんだろ」って歌った後に
『君待ち』で「真理なんてデタラメ 勇気なんて出さないでくれ」と歌ったあとに、ってさ。歌ったよね。
ああ。って、メッセージ、受け取ったよ。ありがとう。また、音楽聞かせてくれて、ありがとう、そう心から思った──そっかぁ2014年9月19日……あれから9年経ったってさあ。信じらんない。埼玉から高速バスで名古屋まで行ったんよ。あのとき一緒にいたあのひと元気にしてるかな
──
『デイパス』
メロディがいい意味でやけっぱちを突き抜けてる。まあ、もう、周りにいるのみんなsyrup16g好きなひとばかりだったってさ。記憶もほとんどないのにわかるよ。
「新しい自転車買ったんだ」と言ったのさ。
「黄色でしょ?」
「うん、あたり。」
顔思い出せなくても、シロップを通じて交わした言葉が色褪せることがない。とっても不思議なことだ。
あのときは嘘ついてごめんよ。私が買った自転車さ実は青色だった。
──
『負け犬』
この曲、毎日聴いてたさ。誇張でも何でもなく、本当に毎日さ。大音量さ。高校からの帰り道さ。歌詞なんて知らねえ。とにかく毎日つらくてひとりですることもなくて、とにかく誰もいない家に帰る道はさ、負け犬とのお散歩だったよ。忘れられるもんか。ああ。吐きそうな気持ち抱えて、全て捨てたくて、浦和高校からずっと歩いて帰ったんだよ。散歩で連れた犬が大音量で吠えてたよ。誰に吠えてるの?「あれだよ」誰?「あれだよ」誰?「あれだよ」……ああそこに世界があった。
──
『(I can’t) Change the world』
春は暖かくて息苦しいんだ。みんな楽しそうで私だけ涙流してる。
「理非道・愛・嘘・刹那 汗・臭い・朝の光」
全部嫌だねって話したあの人の顔も忘れてる。あんなに恋焦がれて、何年、8年?それでも、あんなに声を交わしても、忘れてしまったひと
交わした話、そう、「全部いやだね」ってあなたは言った。
──
『Drawn the light』
歌詞がさ、錯綜するシュルレアリスムで、呼応するようにボーカルもディレイ。ライブで聴いたときものすごく感動した、イメージはとても攻撃的、交尾する人間を光で照らして舞台上にあげてやってさ。笑い転げた。アハハハハハハは嗤われたのは、俺だ。ケチくせえことやめて全部の聖書「すべては愛」福音、てめえの血で染めあげようぜ。神様おれを救ってくれよ。俺の血だ。ほら神様俺の血
──
『パッチワーク』
ねえ、なんでこんなに話したことばかり思い出すの。
「こんなに言い切ってしまえる人がいるの……!すごい、この人だれ?」
「syrup16g」
ああ私を3度もICUに送った恋人よ今頃どうしてる出会ったころに話したことさ私も楽したかったしあなたも楽したかったねあなたは楽してる?私は楽したかったらベッドにいてさ父親が2時間半かけて救急車に乗って泣いて何度も何度も泣いてあなたは平然とそれを見ていたねえ「部屋血だらけにするのやめてよ、こっちの責任になるのだからさ」そう言ったきみ、いまなにしてる。都合よすぎるぜ。私?私?光……今日曇りだな、いつになったら晴れるかな。
──
『土曜日』
そう、私が小学3年生のころは土曜日も学校あったな。休みの日もあって、土曜日ってなんだろうって不思議だった。
仕事何回辞めたっけ、何回休職したっけ、何年土曜日なかったかな。日々は、ベッドの上で過ぎていき、あるのは病院に行ってお薬もらう日だけ、日付なんてなかった。曜日もなかった。
不思議だったの。「他の誰にも代われない 君と僕の顔が」顔が……あった?
まだ自信ないよ。わかんないよ。君の顔わかんないよ、まだわかんないよ。うつろに彷徨ってるよ。いまもまだ。
いつか、私にも土曜日はくるの?
────
ファーストアルバム『COPY』
これが最初で最後のおれのさくひんぜんぶパクリだよ。だろう?みんなと一緒さ同じコードで同じ歌詞でパクって一緒に大合唱。どうだ。オマージュとか真実(嘘)で固めた生臭い言葉なんか反吐が出る。さあ俺はなんだ。音楽は本物か。パクった偽物か。俺の言葉は本当か、俺の音楽は本当か、俺は嘘つきか、どうなんだ。聞いてんだよ。お前に聞いてんだよ。永遠に、永遠に。
22年前の今日発売になったと聞いて。
なので私のシロップ歴も22年になりました。
遡って探さないけれど、前もレビューを書いたかな。
22年経っても、全く何も色褪せないほど化け物じみて美しい楽曲ばかりであることに、当時買ったばかりのアルバムを抱いて帰った高校生の私は気付いていなかったけれど。あれからずっと、私の心の底にはCOPYの曲が流れ続けていて。きっとこれからもそうです。
She was beautifulから始まるこの最初で最後の(つもりだったと聞く)アルバム。1曲目にこの曲を置いたことに、強い祈りを感じる。ひとりでも、いつか、だれかの、心へ、届きますように(syrup16g『ラズベリー』より)と。
その祈りは、時を超えて、人種も超えて、多くの命ある存在の魂のなかで響き渡った。教会でパイプオルガンがバッハの曲を響かせるような神聖さをもって。
この曲は、生きるための曲では決してない。この曲は生きている私たちとともに常に寄り添ってくれる、泣いてる人の傍で寄り添って(syrup16g『To be horor』)くれる、ただそれだけ、ただそれだけ、ただそれだけのことができる唯一無二の曲なのだ。他にそんなことができる曲を私は知らない。ただ寄り添う。声をかけるのでもなく、背中をさするのでもなく、ただ隣にいる。隣でいつも生きている──ライヴのときに出会って話した十数人の人たちが、みんな声をそろえて(決して協調などではなく、個人の意思で)、言った。
それぞれ自分なりの言い方をしたけれど、意味をしていることは、みんな驚くほど同じものだった──「私の命の終わるときもその後もわたしのたましいのなかでこの曲が流れていてほしい」と……。
もう一度言う。この曲は生きるための音楽では無い。生きている人の魂の隣に永遠に寄り添ってくれる音楽なのだ。
彼らがその後に出したアルバム、もちろん素晴らしい。
素晴らしい、が、She was beautifulという曲の持つ、聞く人の魂の教会にて響き渡る祈りの歌として、これ以上の曲はないだろう。
──
『無効の日』
私がずっと、この曲で大好きなフレーズがある。
「空気中の酸素量は減っちゃって 苦しそうにね 口笛吹く それをどうして悲しいと言うの」
本当に好きなんだ。
syrup16gが好きな人の集まりで、よく歌詞の話題になると、「いちばん好きな歌詞」はという、話題になる。
そのときに私はこのフレーズをいちばんに挙げる。
すると、「どうして?」と誰もが言う。
どうしてだろう?私は声がうまくだせない。声に出そうとすると、頭に浮かんでいたことが消えてしまう……そう……空気中の酸素量は減っちゃって──声が出ない──それなら音楽を、口笛を吹いてみようか──苦しくても、私はこの曲が好きだ、この歌詞が好きだって、口笛吹くの。苦しくたって好きな音楽があるから、いちばん苦しいときだって、この曲に支えられて、歩いてきた。全然悲しいことなんかじゃない。私はこの曲が好きだよ。「そうなんだ、そうだよね。」
──
『生活』
少しなんとなく、書くの気後れしてしまうよ。わかってくれる?
──
『君待ち』
「時計壊れた 後の責任は放棄 すべては ほら もう劣化されない」
とても哲学的な歌詞だと思った。し、ずっと思っている。退廃の、世界から追放されることへの諦めの、美。決して、ルサンチマンでない。受け入れている、沈んでゆく船。時間通りに起きて(syrup16g『もういいって』)やるべきことなんてもうないよ。いいんだよ。もうやめよう。横たわっていよう。沈んでゆこう。深い海の中へ。
─
LIVEツアー『再発』の名古屋でのセトリ
『ゆびきりをしたのは』で「勇気を使いたいんだろ 勇気を使いたいんだろ 勇気を使いたいんだろ 勇気を使いたいんだろ」って歌った後に
『君待ち』で「真理なんてデタラメ 勇気なんて出さないでくれ」と歌ったあとに、ってさ。歌ったよね。
ああ。って、メッセージ、受け取ったよ。ありがとう。また、音楽聞かせてくれて、ありがとう、そう心から思った──そっかぁ2014年9月19日……あれから9年経ったってさあ。信じらんない。埼玉から高速バスで名古屋まで行ったんよ。あのとき一緒にいたあのひと元気にしてるかな
──
『デイパス』
メロディがいい意味でやけっぱちを突き抜けてる。まあ、もう、周りにいるのみんなsyrup16g好きなひとばかりだったってさ。記憶もほとんどないのにわかるよ。
「新しい自転車買ったんだ」と言ったのさ。
「黄色でしょ?」
「うん、あたり。」
顔思い出せなくても、シロップを通じて交わした言葉が色褪せることがない。とっても不思議なことだ。
あのときは
発売は秋だって知ってるけど、春の霞んだ光に似合うアルバム。
世界は活力と生命力に満ち溢れた空気で、何度迎えてもその空気に乗りきれない自分に柔く食い込む大切な曲たちです。
たまにここに来て投稿が増えているとばつが悪いような安心するようななんとも言えない気持ちになってしまうのだけど
シロップの曲も、いつも自分の固有のものだと信じてた気持ちや状態にすぽっとはまるのでばつが悪いような安心するような、そんな自分だけの場所に食い込んでくるわたしのシロップ。
それぞれのシロップを大事にしているたくさんのリスナーがいることを思いながら、乗りきれない春の始まりを今年もこのアルバムと過ごします。
改めてレビューというか、心情を。
syrup16g のアルバム聴いてる時だけ、自由を感じました。
半端な共感や音楽のカテゴライズではなく、「心なんて一生不安さ」と突き放されて与えられる自由。
思想、信条の自由。
頭の中では何考えてもいいんだと。歌の中では何を響かせてもいいんだと。
そりゃ愛与えられたり共感とかされたら嬉しいですよ。人たらしで。
バイオレンスな曲を響かせたらテンションアガリますよ。
でも、やっぱり自分がいつも戻ってくるのは、若い時から枯れている信条に加えて、気怠い声とサウンドにあるこの内面の自由です。
おじさんになるとそこに加えてバンドに色気がつくんですが、若い時は暗い部屋に鳴ってそうなことがパッと思い浮かぶ素朴な音ですね。
スマホの目覚ましは『生活』にしました。