Hurt
2014.08.27 発売
UKDZ-0157
レビュー・・・。
自分は、メロディ・歌唱・楽器・アレンジ(編曲)などサウンド面からの感想を。

全曲と思ったけど締め切りが近いので数曲抜粋で。

M02『イカれた~』
サビのシャウトが琴線に触れる。魅惑の声・唱法。
アウトロ8小節にわたって持続するG音のコーラス。切ない。
ビートは演奏しててアガる6/8拍子。色々あるけど 一番興奮するのはハチロクだね。間違いないね。

M09『理想的な~』
声のトーン、発声、唱法、メロディ、全部。cleanと歪み、両ギター。美しい。浮遊感。
抑制の効いたドラム。
6thと9thの音を使ったベースラインと、歌との絡みも良いと思ってる。

M10『宇宙遊泳~』
何度も言うけど。傑作。
アレンジ(構成・アンサンブル)。少しだけ珍しいコード進行。
演奏。ダイナミクスの自然さ。Bメロ・サビで世界が一気に拡がる感じ。
ミックス良かった。釆原さん。
ドラム の躍動感。要所要所で入る3拍裏のスネアが。キックの手数(足数)大盛り。ベースも大盛り。
ギターの音色・アレンジ、無駄が無い。
全体にシンプルでニュアンスのあるメロディ・声。
特にサビの「宇宙~遊泳」のところメロディライン。しかもハモるのは 曲中でここだけ。このセンス。
パワー・高揚感・未来・を感じる。
  
「Share The~」のモードっぽいスケールとか、「Stop~」の変拍子の解釈についてとか
「メビウスゲート」でTalking Headsを連想したとか、
触れたい事はまだあるけど、実はもう締め切りオーバーしてるので。


それでは。

キタダマキ(syrup16g)

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“Hurt”のレビュー

  1. 私がsyrup16gに出会ったのは、16歳のひきこもり時代で、約14年前になる。その時はひきこもりで、人生に挫折し、無気力の鬱状態で、自殺未遂なども当時はじめて経験し、ダウナーな毎日で、syrupのCDも買えず、当時親友だったゲイの男友達からCDを焼いてもらって、何とか聴いていたっけ。バイトしてないお金無い、実家も貧困層だったから、当時はライヴも見に行けず、そうこうしているうちにsyrupは解散してしまった。そこから五十嵐さんの身を心配しながら何年も何年も待ち続けて、大人になってから、生還ライヴが行われて、再結成が決まり、このCDが発売された、という奇跡をまだ噛み締めている。
    五十嵐さんは分からないけど、私個人は、五十嵐さん達syrup16gメンバーが帰ってくることを、syrupメンバーと、またファンの皆さんと、ゆびきりをして待っているような感覚だった。人生の答えが何処に、あるのか知らないけど、ゆびきりをした。それだけを支えに、命を繋いで、2019年5月31日に私は30歳になった。五十嵐さんとは誕生日は1日違いで、運命感じちゃうんだよなあ。笑
    30歳がやってくるショックはデカかった。でも、syrup16gが再結成した時、私は、魂の底から、生き長らえてよかった、と。報われたような気がしたのです。そんな心持ちで聴いた1枚。そして大人になってから、はじめて行ったライヴは感動した。

    なんだか、CDレビューにはなってないかもしれないけど、私の中ではsyrup16g及び五十嵐隆という存在は、延命剤だったんですよ。
    だからって言うか、この再結成第1弾のCDにも、思い入れは強いなあ。個人的にはstop brainと、ゆびきりをしたのはと、生きてるよりマシさが、どハマりした。
    「誰かの君になってもいい 嬉しい」は、大樹ちゃんに宛てた歌詞なのかしら、と勝手に推測。犬が吠える当時、五十嵐さんは、大樹ちゃんは、どんな想いだったんだろうって未だに思う。
    「思考停止が唯一の希望」は名言。誰しもが絶望の淵に立たされた時に感じるであろう感情を、あんなテンポいい曲調に乗せて歌ってしまう五十嵐さんのセンスに感涙。
    「君と同じように生きていきたいけど 君も同じように生きていくのは とても大変で」という歌詞にも、共感できる。人生上がったり下がったり、山あり谷ありなのを、寄り添って解ってくれるような思いやりを感じる言葉。
    「一生そればっかりでも飽きるから 本気出せるものひとつくらいはないか」は、正に私の今の心境。ひきこもりを脱して社会に出たものの、うつ病が悪化してまたひきこもりの生活の現在。ギター弾き語りや文章を書いたりと、色々やってるけどどれも中途半端で。本気出せるものひとつくらいはないか?って本当に思う。ただ、生きるのに本気を出してないのか、と他人から批判されるのは、大ダメージで、豆腐メンタル。ああ、またsyrupが聴きたい、となるループが出来上がっている。これは沼かな?一生甘い蜜のような五十嵐さんの優しさに浸かり続けていたいけど、そろそろ本気出さなきゃな、みたいな。
    長々とすみません。とにかく、syrupと五十嵐さんが大好きなんです。再結成してくれて、生きていてくれて、ありがとうございます。生かしてくれて、ありがとうございます。

  2. シロップを知った当時は学生だったのでライブへ行くお金もなく、その後シロップは解散。
    そして待ち焦がれたライブ【再発】で最前列のチケットを手にし、圧倒された。
    不気味で激しい音、光の演出、空気、熱気。すべてに気が狂いそうでした。
    後ろからの凄まじい詰め寄りにバーと人に挟まれ、曲が入ってこないほど苦しく肋骨が折れそうでした…。
    でもある曲で五十嵐さんが不意に目の前に座りギターを弾き始めたとき、もう折れて死んでもいいやってくらいの感動でした。
    私とは別のジャンルのロックを好む友人がこのアルバムをとても気に入っていますし、復活に対する思い入れの強さがファンに伝わる一枚だと思います。

  3. 楽曲に彼らの年齢ならではの枯れた感じと大人の色気が出はじめたのが、復活後のアルバムの特徴。青春の始まりと終わりを通過する際のギリギリの深刻さを保ったバンドから、キタダさんがガチ参加して、このアルバムで『宇宙遊泳』っぽく青春後に楽しく人生のたうちまわるおじさんバンドとして帰ってきたのが、たまらなく良かったです。『生きているよりマシさ』のMVのまんまの音がこのアルバムでは鳴っています。
    青春後の人生のほうが長いのだから、これからも是非ずっと音を鳴らしてもらって、こちらはsyrup16g とともに生きていきたいです。これらの枯れて程よく力がある抜けた感じの楽曲は若い人には作れないですし、青春が終わったら解散するバンドが多い中で、青春後のバンドの音をこのアルバムで感じて希望を持ちました。

    ところで、復活後のこのアルバムから1人でいるときの静寂ではなく、2人でいる時に感じるような切なさが鳴ることが増えます。そこで、復活後の楽曲をそれなりの箱のライブでやってもらえるの、個人的に大好きなんですが、何故なんでしょうね。曲の中に2人構成があることが増えたからでしょうか?ライブの演者と客みたいな関係のように。

    冥土のツアーで復活後の皆んなで盛り上がるタイプの楽曲と、復活前の盛り上がり系の楽曲どっちがいいって思ったかというと、個人的には前者の復活後なんです。前者の復活後の楽曲は、メジャーデビュー後の柄にも合わないロックスター的な無理してない感じがしたんですね。だから、復活後の楽曲群はライブで聴く方に緊張を強いてない感じがします。このアルバムでは激しめのShare the lightとかも、歌詞に頼らない新しいsyrup16gが始まったなって感じはしました。

    最後に、イカれたHOLIDAYS、カラオケで歌うぐらいには好きです。そんな感じで、カラオケに復活後の楽曲入ったら歌うんですけど、復活後の楽曲って歌っぽいものが多いんですよ。Share the lightも個人的には歌です。このレビューでは何かうまく書けないんですけど。逆にバラード以外の復活前の楽曲は歌というより、個人の独白に近いって、カラオケで歌ってて思います。復活前の楽曲も全部歌といえば歌なんですけど、復活後のこのアルバムで復活前の個人の独白みたいな世界から抜けて、楽曲の世界が広がった感はありました。

  4. syrupが解散した時、もう新作聞くこともライブ見ることもないんだなと思ってた。けど、毎年3月1日のあの時間になると武道館のDVD見る儀式をしていた。期待は無くとも。
    新作の発表、再始動のお知らせがTwitterで流れてきた時、舞い上がった。もう聞くことは無いと思っていた新作が聞けるではないか。何より五十嵐さんがまた音楽をやってくれるなんて!

    CD一枚一枚のレビューと共に、当時の記憶が蘇るのです。

  5. 解散後に出会い、遡るかたちで軌跡を辿ってきた私の、人生初のsyrup16gライブが「再発」ツアー初日、名古屋のダイヤモンドホールでした。
    DVDや動画で何度も観てきたはずのライブなのに、いざ対峙してみると様々な感情が溢れ出してきて、その想いを吐き出す場所を求めて彷徨い歩いた夜と、無我夢中でフロアの熱量に身を任せた記憶。
    今から思えば、どうしてこのチケットを当てられたのかも分かりませんが、syrup16gとの距離を縮める為には必然だったのかなぁ、という気がしています。
    だからこそ、このアルバムはsyrup16gの作品の中で最も耳を傾け、感情移入をした作品です。
    今回の全曲解禁&レビュー募集にあたり、そっと記憶の奥底に眠らせていた思い出を記載させていただきました。
    また、いつか来札される日を心待ちにしています。